前章では,
物体に仕事がなされたとき,仕事の合計が物体の運動エネルギーに加わる
ことを学んだ.
物体に力を加えて移動させるとき,仕事量が始点と終点だけによって決まる(経路によらない)とき,その力を 保存力 とよぶ.
重力,摩擦力のように力学の授業でよく登場するものは保存力である.
摩擦が関係する力は非保存力である.
現時点では,「摩擦」以外の力はほとんど保存力であると思って良い.
摩擦力は運動エネルギーを減じるようにはたらく.この分は熱エネルギー(分子の乱雑な運動エネルギー)に変化する.そのことをエネルギーの 散逸 (dissipation)とよぶ.
この節以降は 保存力についてだけ 扱う.
力の積分に負符号をつけたものをポテンシャルエネルギーと呼ぶ
ニュートンの運動方程式
を積分(左辺については,テキストp170参照:授業で説明)すると
がなりたつ.つまり,
は一定に保たれる.これを 力学的エネルギー と呼ぶ.
質量mの物体にはたらく力は,地上付近では一定値 mg であるから,鉛直上向き方向にy軸をとると,
となる.
落下は,運動エネルギーが増し,ポテンシャルエネルギーが減る過程である.
エネルギー的考察が有用である例として例題8.4を考えてみよう.
力 の積分(ポテンシャルエネルギー)は
であるから,この場合の物体の力学的エネルギーは
と書かれる.
例題8.6を考えてみよう.
保存力を積分するとポテンシャルエネルギーの表式が得られた.逆にポテンシャルエネルギーを微分すると力になる.
一次元での問題では,FあるいはUが位置xだけの関数であるとき,力は保存力であるといえる.
最後にp.208の「まとめ」で復習しておこう.
2,3,4,10,29,43
斜面を滑る物体のエネルギー保存則に関わるシミュレーションとして,Webブラウザで見られるものを紹介する. 次のページの Dynamics -> Coservation of Energy を閲覧してみてほしい.